仕込みが始まる。
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少しお客様のご来店が落ち着いた夕方、Panetteria TORITONさんのパン作りを見学。
催事に向けて仕込みが始まる工房はmakiさんが一人、黙々と作業していた。
「いつもは皆んなで作っているんだけど、今日はたまたま一人なんですよ笑」
はじめは店頭からのぞいて話をしていたが、撮影の許可をもらって工房の中へ。

火を落とした石釜はひっそりと活躍の時を待ちます。
Panetteria TORITONのパンは猪名川町のお店で購入できる以外に、阪急阪神百貨店を中心に関西の百貨店や商業施設にて催される、パンの催事で購入ができる。
「阪急百貨店は うめだ本店をはじめ阪神・北摂地域のお店に出店しています。JR大阪駅のルクアや近鉄百貨店でも催事に出店していますね。」
週替わりのスケジュールは途切れることなく、毎週どこかでパンの催事に出店しているそう。

写真は2018年9月撮影の催事予定表
その全てのパンは猪名川町のお店 Panetteria TORIOTN で手作りされています。
「売り切れることがないように、たくさん仕込み、たくさん作るんですよ。」
年間4,900万人※が訪れる[阪急うめだ本店]では、1日の来店数も非常に多い。
これだけの数のパンを作るなら工場で大量生産?
素人ながら勝手に想像していた。
普段は複数人で作業するとはいえ、目の前にいるmakiさんが一人で作る過程を見ていると、少し不思議な気持ちになり、改めて作業工程が気になり始めた。
材料の計量
小麦粉・酵母・塩・卵・水….
美味しいパンを作る最初の工程。
「あー今は話しかけないで、数量を間違うといけないから笑」
黙々と、一つ一つ、丁寧に、そして繰り返される工程は流れない繊細な作業だった。

パン一日〇〇個、卵一日〇〇個。
「ピーピーピーピー」
ミキサーが音をたて、次の生地を急かすように動きを止める。
腰を落としてボウルを外し、生地をせーので取り出した。
「よし。」
短く息を吐いて、次のボウルをミキサーにセットする。
「まだまだこれから。どんどん生地を作りますよ。」
百貨店の催事は1週間続く。
1週間が終わると次の催事が始まる。
毎日多くのトリトン パンがお客様の食卓に並んで行く。
私もミキサーにセットされるボウルを移動させてみた。
想像以上の重さを手に感じるだけで、パン作りが体力勝負であることを教えてくれる。

スピードを変えながら、ミキサーは生地を捏ね続ける。
慣れない天然酵母の香りに鼻が反応する。
「ピーピーピーピー」
ミキサーが鳴り、工房に一定のリズムが生まれる。
「プルルルル」
電話が鳴り、パンの注文が入る。
「カランコロン」
「いらっしゃいませー!」
閉店間際のお店にお客様へmakiさんの元気な声が飛ぶ。
外は夜になろうとしているのに、店内は非常に賑やかで忙しい。
お客様は残り少なくなったパンの中からじっくりと選んでお買い上げ。
「ありがとうございます。明日から催事が始まります。ぜひお越しくださいませ。」
「ピーピーピーピー」
次はオーブンの焼き上がりを知らせる音が鳴り響く

ミキサーにセットするボウル。子供が入れるほどの大きさ。
「今日もたくさん生地をご用意します。スタッフみんなで作るパンを、全国のお客様に食べてもらいたいですね。」
そう話すmakiさん。
スタッフの皆さんと作るパンを多くの人に届けたい。
そんな想いで作られたPanetteria TORITONのwebストアがあります。
「webストアでは北海道をはじめ全国のお客様からご注文を頂きます。また催事で購入頂いたお客様がPanetteria TORITONのファンになってくださり、webストアでご注文頂くなど嬉しいお声も頂戴しています。」
猪名川町から少し離れた地域のお客様もwebストアでトリトン パンを気軽に買えるそう。
「一度、皆さんにwebストアもご覧いただけると嬉しいですね。」
makiさんは話をしながらも作業の手を止めることはありませんでした。
取材が終わって。
帰り際makiさんに「お土産」として頂いた、焼き上がった食パンをまじまじと眺めてみた。
あの生地を作るボウルの重さを思い出し、私の丸い背中を少し伸ばしてみた。
そして、明日の朝食べるトーストが待ち遠しくなり、今朝使い切った”コーヒーを買う”をメモに追加した。
次回は、「パンを焼く」を記事にいたします。
どうぞお楽しみに!
Panetteria TORITONの催事スケジュールは公式サイト、各SNSでお知らせしております。
ぜひチェックしてください。
※エイチ・ツー・オー リテイリング 株式会社 平成28年3月期 決算発表 補助資料より